葛飾区役所・新庁舎整備はまさに「青天井契約」‼

新庁舎整備

工事費の膨張 ― わずか9か月で18.55億円増

立石駅北口地区市街地再開発事業で整備される新庁舎(東棟)の工事費は、わずか9か月間で18.55億円(約4%)増加しました。

区は「物価上昇の比率と同じであり、年4%程度の上昇」と説明しましたが、それでも同様の上昇が続けば、竣工時には約560億円規模に膨らむ計算です。

しかも契約形態は東棟と西棟で異なります。

東棟(庁舎棟):国交省の物価スライドマニュアルに準拠=自動的に工事費に反映(青天井契約)

西棟(タワーマンション・商業棟):民間指標を参考に協議で調整

区は「東棟も話し合いの余地がある」と答弁しましたが、契約書には自動スライドが明記されており、実際には交渉の実効性は乏しいのが現実です。

予備費のごまかし ― 本来の負担を隠して処理

工事費が膨らめば、本来は区と都の保留床処分金に上乗せされるはずです。

しかし今回、区の要請により再開発組合は 予備費13.79億円と1.96億円を取り崩し、庁舎取得費を据え置きました。つまり、現状で区民から見える庁舎取得額は増えていないように見せかけ、裏では予備費を消費して穴埋めしていたのです。この結果、工事が始まる前から東棟の予備費はわずか700万円しか残っていません。

この処理の背景には「財産価格審議会」の存在があると思われます。わずか9か月で庁舎取得額が大幅に膨らめば、再び財産価格審議会にかけざるを得ません。そうなれば、「査定が区の都合でどうにでもなる」ことが区民の目に明らかになり、審議会の権威が失墜しかねないのです。区はこうした批判を避けるために、予備費で処理して表に出さなかった可能性があるのではないでしょうか。

協定=紙切れ答弁(爆弾) ― 遅延条項がない

さらに驚くべきは、再開発組合とゼネコンの間には「年10%の遅延損害金条項」がある一方で、区と再開発組合の協定書には遅延条項がないという事実です。

区はその理由として「保留床を取得する契約をしていないから必要ない」と主張。さらに「協定書には地方自治法上も民事上も法的拘束力はない」とまで答弁しました。

つまり、区が再開発組合と交わした「庁舎を取得する約束の協定」は紙切れ扱いというのです。このままでは工期が遅れても、葛飾区には1円の補償もない仕組みになっています。

新庁舎整備の3つの重大な問題

  • 東棟は「青天井契約」で、直近9か月で18.55億円増。このままの上昇率が続けば、竣工時には560億円規模のリスク。
  • 区は予備費を使って庁舎取得額を据え置き、財産価格審議会を避けるために透明性を欠いた処理をした。
  • 区は「協定は法的拘束力を持たない=紙切れ」と答弁し、遅延損害金もゼロ。

小林議員の主張

これまでも市街地再開発での庁舎整備には一貫して反対してきました。数百億円の税金が投入される新庁舎整備事業で、区に不利な契約で進めることは、到底認められません。

資料: